2012年2月27日月曜日

3/3にアート哲学カフェを開催します。

このたび、小金井アートスポットの展示を題材に哲学カフェを急遽行うことになりました。
どなたでもお気軽にお参加ください。

日時:3/3(土)15:00-17:30
場所:小金井アートスポットシャトー2F 地下オアシス
(地図は「アクセス」のページをご覧ください。)

テーマ:アート哲学カフェ
展示作品を鑑賞した後に哲学カフェを行います。
15:00-16:00 展示鑑賞
16:00-17:30 哲学カフェ

作品タイトル:「Close Encounter of the Farther」
アーティスト:和田昌宏 (http://www.masahirowada.com/)

注意
当日のカフェの内容をビデオで記録します。
撮影を希望されないという方もご相談ください。

参加申し込みは以下のフォームからどうぞ。

2012年2月18日土曜日

2/18(土)哲学カフェ まとめ

まもなく本日の哲学カフェを開催します。
posted at 14:57:42
思考実験の内容を紹介します。 「健康王国でのもめごと」 健康王国の健康大臣は、国民の食べ過ぎを気にかけていた。 国民の20パーセントは食べ過ぎで、毎年10万人が心臓病などで早死にしていた。
posted at 15:01:34
大臣は、特にチョコレートの食べ過ぎが国民の不健康の原因だと考えて、チョコレート産業を規制する案を出した。
posted at 15:02:46
1.「食べ過ぎは人を殺す」というキャンペーンを実施する。 2.食べ過ぎがどのように不健康を引き起こすかを学校で教育する。 3.チョコレート税をつくる。
posted at 15:04:02
この規制に対して経済大臣が反論した。 経済大臣の反論「チョコレートを食べることと心臓病の間に確実なつながりは認められない。もし認められるとしても、チョコレートを食べるのは個人の選択に委ねられるべき問題である」
posted at 15:05:42
さて、この規制は妥当でしょうか? まずはみんなで考えてみましょう。
posted at 15:06:19
6名の方にお集まりいただいています。
posted at 15:10:31
今日は思考実験に挑戦、です。
posted at 15:11:50
進行役:チョコレートを規制する。あなたはどう思いますか?
posted at 15:15:36
A:公共の福祉にのっとっていて、いいのかなとは思いました。
posted at 15:16:18
B:反対。今日、個人の選択が重視される。包装紙に害の内容を書くことくらいが落としどころか。
posted at 15:17:29
C:ほんとに害があるのか、ちゃんと納得させてもらえないとちょっと。
posted at 15:17:49
D:なぜチョコレートだけなのか。
posted at 15:17:59
E:食べ過ぎで死ぬという因果関係はあるかもしれないが、チョコレートだけ規制するのはなぜか。チョコレートだけ食べているわけではないだろう。
posted at 15:19:10
B:チョコレートと健康の因果関係を明らかにするのはかなり難しいのではないか。科学的に有意ということの難しさ。
posted at 15:20:16
A:因果関係は前提とした上で、施策のあり方を議論した方がいいのかどうか、まだわからない。
posted at 15:22:03
進行役:では第二の段階にいきましょう。
チョコレートと心臓病の間に因果関係があることが科学的に明らかになってきました。
大臣は、公共の場でチョコレートを食べることを禁止しました。
チョコレートのパッケージに、「心臓病の原因となる脂肪と砂糖が含まれています」
ということが記載されるようになりました。

この段階まで来たとき、あなたはこの規制が妥当だと思いますか。

posted at 15:23:37
E:なぜ公共の場所では食べてはいけないのか。
posted at 15:23:52
進行役:他の人にも大きな影響を与えてしまう。食べたくなってしまう。
posted at 15:24:34
C:禁酒法を思い出した。
F:密売が起こりそう。
posted at 15:25:06
B:国家ごとの選択の余地が出てくる。
posted at 15:25:49
D:パッケージに警告を出すのは賛成。国民は、それがあれば、選べる。
posted at 15:27:05
D:公共の場所で食べること禁止には反対。個人に選択の余地がなくなる。
posted at 15:27:47
A:でも私有地では大丈夫。個人の選択は担保されているのではないか。
posted at 15:29:42
A:シンガポールのガムの制限。所持の禁止。捨てる人がいる。人前で食べてはいけない。
posted at 15:30:29
進行役:第三の段階にいきましょう。
規制はどんどん厳しくなっていきました。
同じように脂肪と砂糖を含むキャンデー、ピザ、ケーキなども規制されるようになりました。

この段階まで来たときに、あなたは行き過ぎだと思いますか?
posted at 15:32:58
B:あらゆる食べ物は食べ合わせによって、発ガン物質をもつ。
この考えで行くと、すべての食べ物が禁じられてしまうので行き過ぎだと思う。
posted at 15:34:42
進行役:この思考実験を踏まえて考えたいことはありますか。
posted at 15:36:06
B:成功しやすい規制と、失敗しやすい規制にどんなものがあるか。
posted at 15:36:27
C:ポイ捨ての規制は可能か。捕まってるのをみたことがない。
posted at 15:37:54
E:自分の管轄以外に捨てるのはだめだろう。ただ、ゴミ屋敷によって周りに被害が及ぶということは考えられる。
posted at 15:39:13
E:愚行権という考え方がある。他人に危害を与えない限り、本人がいいといえば、やらせてあげる権利。
posted at 15:40:01
B:チョコレート規制は、愚行権を侵害している?ただ、医療費が膨大すると、国家の損害になるのでは。
posted at 15:41:15
C:たばこを規制したほうが国家財政にいいのか。早死することで年金が回るので、国家財政にはいい。
posted at 15:42:47
進行役:愚行権を認めるとすれば、マリファナを肯定できるのか。思考実験の例だと、最後にマリファナとの違いについて大臣が述べて終わる。
posted at 15:44:34
E:お金持ちが何らかの製品を買いためて、無駄にするという例はどうか。
posted at 15:47:39
E:高い絵を買いためて、燃やすのが趣味。愚行権は認められるか。
posted at 15:48:06
D:買いためるという行為自体が批難されるのではないだろうか。
進行役:買った芸術作品を燃やす人を、どうやって非難できるのだろうか。

C&F:もったいない。
posted at 15:49:03
C:燃やしちゃうのは、アート作品がもったいない。その人だけのものではなくて、社会全体の財産という感じがある。
posted at 15:49:58
E:説得することはできるのだろうか。
posted at 15:50:16
D:作家との信頼関係。作家は燃やされることを前提につくっていない。
posted at 15:51:03
B:箱にしまっておくのはどうか。死蔵になるだろう。模範的な程よい使い方があるのか。
posted at 15:51:43
A:お茶碗を復元する技術がある。割れたものを直したものに「わび」があると言う。なのでわざと割ってしまう人がいる。使い込んで色合いが古びたものとどっちがいいのか。
posted at 15:53:15
B:ロックコンサートで燃やしてしまうギターもある。燃やしてしまうことの快感。
posted at 15:55:48
A:意図して壊すのはどうか。金継ぎにしたい人がいる。作家にとっては嫌な行為。
posted at 15:58:55

五分ブレイク。

D:今まではモノの話だったが、
生命についての話に入る。マリファナは個人の趣味にしていいのか。
posted at 16:06:20
B:家族に被害が及ぶ可能性がある。
posted at 16:07:10
C:マリファナだと日常的に摂取しても特に害はないといわれる。
posted at 16:08:15
A:依存してしまうものの話。ギャンブル・性行為も依存しすぎると、一つ上のステージに行ってしまう。
posted at 16:08:44
C:法律はどういう基準で線を引いているのか。法律だと身体の依存性で判断されているんじゃないか。
posted at 16:09:10
A:ギャンブルで破産するのはざら。依存性をはかる基準はあるのか。
posted at 16:09:30
A:個人と公の関係がきになる。公が規制することについて。
posted at 16:10:39
B:程度の違いでだいぶ印象が変わる。健全な目的であるならマリファナもチョコレートも禁止しない。麻酔のような用法もある。
posted at 16:11:53
F:海水浴場で「刺青の人お断り」というのも気になる。
C:もともとはやくざの締め出しか。
posted at 16:13:07
C:ふつうの人がタトゥーをいれる時代になってしまったので、この規制は少し変な感じがある。
posted at 16:13:44
E:プライベートとパブリック。国家と私人の関係か。真ん中にローカルルールがあるのでは。タトゥーはコミュニティールールではないか。
posted at 16:14:48

posted at 16:15:33
進行役:国が規制するルールとローカルルールの差は何か。
posted at 16:17:03
D:食品とかは、家族単位で規制されている。
進行役:アイスキャンディーは一日一本まで。とか。
posted at 16:17:32
A:国家が規制するのは、国にとっての不都合が生じるときでは。国がメリットを受けるから、規制する。
posted at 16:18:20
A:愚行権はどこにあるのか。社会にデメリットがあるとき、規制される。
posted at 16:19:37
E:紙幣をコラージュしてつかまった芸術家がいる。貨幣は社会にとっての血液であり、それをいじるのは社会秩序を損なう。というのが、貨幣を改変することを法律で禁じる理由では。
posted at 16:21:38
C:というより、偽札が横行すると困るからでは。
A:でも、外国の貨幣は国内で改変してもいい。
posted at 16:22:36
D:これらは一種のタブーではないか。しかし、タブーは法律で規制できるのか。
posted at 16:23:36
A:自殺を規制する法律はない。自殺未遂が刑法にひっかかる国がある。
posted at 16:25:02
A:慣習が法律になっているのでは。キリスト教、イスラム圏のように。
posted at 16:26:05
B:つきつめると理由がはっきりしない。それがタブーではないか。近親相姦のように。
posted at 16:26:53
進行役:タブーとは、理由がよくわからないが規制されているものといえるか。理由が明確で規制されているものとの違いはあるか。
posted at 16:28:05
E:タブーを法律などで明文化することは考えられるか。理由がなければ立法趣旨が書けない。
posted at 16:29:19
進行役:覚せい剤はタブーか。そうでないか。
D:タブーは文化から出てくるもの。覚せい剤は科学的に有害性が証明されているから。
posted at 16:31:30
進行役:喫煙はこのまま時代が経つとタブーになるか。
posted at 16:31:44
A:いまではタブーとされることが、昔はよかったものがある。同性愛。江戸時代までは褒められることはあれ、けなされることはなかった。
posted at 16:33:11
D:ただ、美少年を連れ込むのは、人権に関わる問題ではないか。
posted at 16:33:51
A:混浴もよかった。西洋の文化が入ってきてから、変わったことがある。肉食も、表向きはだめだった。
posted at 16:34:59
E:同性愛の文化。ここ15年で緩和されている。
posted at 16:35:38
E:しかし、太古から続いているタブーがあるのでは。本質的な、人間の遺伝子に根ざしているような。近親相姦。人肉を食べること。
posted at 16:36:20
C:人工授精。今は人によってはタブーと感じるが、技術がすすめば、変わってくるかもしれない。
posted at 16:37:25
進行役:タブーは、道徳、倫理、モラルと関わる。しかし、分けて考えることもできるのではないか。
posted at 16:38:15
B:明文化されていないものは、なんでも個人の自由ではないかという傾向。
「多様性」という言葉が免罪符になる。
posted at 16:39:59
進行役:ただ、過去のタブーで不合理なものはあるかもしれない。肉食の禁止など。
posted at 16:41:08
B:食人。食料問題の解消に資するようになるかもしれない。
E:「緊急避難」という法律用語がある。船が沈没して、助かったのが二人、板が一枚。もう一人を殺してもいい。
posted at 16:43:03
A:葬送儀礼で食人をする南国の種族もあるという。食人したくない理由は、実際にはわからない。食べたくないといわれてるから、だけかもしれない。
posted at 16:45:51
E:ひとに宗教、収入、学歴を聞くのはタブーだとされる。なぜか。
posted at 16:47:25
C:差別につながるとされる。
posted at 16:47:45
進行役:女性に歳を聞いてはいけない。なぜか。
A:「若さ」に価値があるとされる。差別につながる。
posted at 16:48:21
E;むやみに聞くと、嫌なことを言わないといけない状況になってしまう。
F:趣味はなんですかと聞かれて、奇特な趣味は言えない。
B:クラシック音楽はいい。アニメソングはだめ。
posted at 16:50:13
E:聞かれたがっているひともいる。オタクのひとはリア充の前ではいわない。ある状況のなかでは受け入れられるが、ある状況ではいえないことのおかしさ。
posted at 16:51:43
A:では、規制を決める根拠はどこにあるのか。共同体に利益があるかという背景にいくのか。
posted at 16:52:40
進行役:これまで話してきたことは、哲学的にいえば、自己決定ということと、倫理の対立。あるいは自己決定と国家との対立。個人の自由をいかにして守るかという論点と共に、よく出される話題です。その意味で今日の議論はすごく哲学的でした。
posted at 16:55:06
進行役:今回の思考実験は、「哲学101問」という本の内容を参考にしました。
最後にその本から、話題に上った食人に関する思考実験を紹介します。
食人を研究する文化人類学の教授がいて、その文化を守らないといけないという主張をする教授。ところが誕生会に招かれ、お世話になったひとを食べなければならない状況に陥ってしまう。さて、教授はどうするか。文化差を超えた規範は存在するのでしょうか。
posted at 17:04:32
今日は6名の方に集まっていただきました。ありがとうございました。
posted at 17:41:27
次回は3月の17日(土)、18日(日)を予定しています。時間は変わらず、15~17時です。
posted at 17:42:21